不動産売却を検討し、複数の不動産会社に査定を依頼すると、
「同じ物件のはずなのに、なぜここまで金額に差が出るのか」
「一番高い査定額を提示した会社に任せて問題ないのか」
と、判断に迷われる方は少なくありません。
不動産の査定額は、鑑定評価のような絶対的な価値を示すものではなく、
「一定期間内に売却できると想定して設定された目安の価格」に過ぎません。
そのため、提示額が高いという理由だけで売却条件が良くなるとは限らず、
進め方によっては、かえって時間や手間が増えてしまうケースも見受けられます。
本記事では、松本市・塩尻市エリアで実際に行われている売却実務を踏まえ、
高すぎる査定額が売主にどのような影響を与えやすいのか、
また、査定内容を判断する際に確認しておきたいポイントを整理します。
「高い査定額」は必ずしも良いとは限らない
不動産査定額は、「この価格で必ず売れる」という保証を意味するものではありません。
あくまで、一定期間内に成約できると見込んだ価格を、不動産会社ごとに提示しているに過ぎません。
そのため、提示された金額が高いからといって、
・スムーズに売却できる
・結果的に手元に残る金額が多くなる
とは限らないのが実情です。
査定額を見る際は、「高いかどうか」ではなく、
その価格で売れる根拠が示されているかに目を向ける必要があります。
なぜ相場より高い査定額が提示されるのか
相場から大きく外れた査定額が提示される背景には、いくつかの事情があります。
一つは、媒介契約の獲得を優先した査定です。
物件を預かることを目的とする場合、他社より目立つ金額を提示した方が、売主に選ばれやすくなります。
また、「まずは高めに出して、反応を見ながら下げていく」という販売方針を取る会社もあります。
この考え方自体が必ずしも間違いとは言えませんが、
その前提を売主が理解していない場合、後々の認識のズレにつながります。
高すぎる査定額が招きやすい3つの結果
相場より高い価格で販売を始めた場合、次のような結果になりやすくなります。
まず、販売開始直後の反応が鈍くなることです。
不動産は、公開直後が最も注目されるタイミングであり、この時期に問い合わせが入らないと、その後の動きも鈍くなりがちです。
次に、値下げを前提とした販売になってしまう点です。
反応がなければ価格調整は避けられず、結果的に「最初から適正価格で出していればよかった」という状況になることもあります。
さらに、市場に長く残ることで「売れ残り」という印象がついてしまうケースもあります。
こうなると、価格を下げても慎重に見られやすくなります。
「一番高い会社を選ばない」という判断について
査定は、「最も高い金額を出した会社を選ぶための作業」ではありません。
複数の査定を並べることで、相場の幅や考え方の違いを知り、自分の売却方針を整理するためのものです。
価格だけでなく、説明の納得感や売却までの道筋を含めて判断することで、
結果としてスムーズな売却につながるケースは多くあります。
売却の確実性を重視する場合の選択肢
「できるだけ早く売りたい」「価格のブレを避けたい」という場合、
仲介だけでなく、不動産買取という選択肢もあります。
買取は、価格は仲介より低くなる傾向がありますが、
・成約までの期間が明確
・途中で条件が変わりにくい
という特徴があります。
売却に何を重視するかによって、適した方法は変わります。
査定を通じて、自分に合った進め方を整理することが大切です。
まとめ
不動産査定では、提示された金額の大小だけで判断してしまうと、
売却までの時間や進め方で想定外の負担が生じることがあります。
重要なのは、
その査定額がどのような前提で算出されているのか、
想定どおりに進まなかった場合、どのような対応を考えているのかを、
事前に把握しておくことです。
売却には、
価格を重視して時間をかける進め方もあれば、
条件の確実性や手間の少なさを優先する進め方もあります。
どれが正解というわけではなく、状況によって適した方法は変わります。
もし、査定内容を見て
「この価格で本当に進められるのか」
「途中で話が変わらないか」
と感じる点があれば、一度立ち止まって整理してみることをおすすめします。
売却を検討している方を中心に、
現在の状況に合った進め方や判断の整理をお手伝いしています。
実際に売却を進める前の確認段階であっても構いません。
納得した判断ができるよう、必要な情報をお伝えします。
当社は松本市・塩尻市で不動産売却を検討されている方を中心に対応しています。
状況整理や判断の確認を目的としたご相談でも構いません。